この記事では、オーディオブックを使って勉強したいけれど聞き取れない、難しすぎるという人に、楽しめるようになるまでに必要なステップをお伝えします。
オーディオブック。楽して勉強ができそうな、夢のような道具ですよね。カフェで、散歩しながらジョギングしながら、風呂で、夜ベッドの中で聞いて、気づいたら英語力が上がっている。素晴らしいですね。
でも現実は、そんなことができる人はごく一握りです。外語大生だったりTOEICが900点後半台だったり帰国子女だったり。そんなレベルでないと、いきなり聞いて娯楽として楽しむことはできないでしょう。
聞きたいオーディオブックをせっかく見つけて買ってみても、難しすぎてとても楽しむどころではないことが大半です。僕自身買っても聞けない本が何冊もありました。
それでも僕の持論として、オーディオブックは始めるのは早ければ早いほど良いと思っています。TOEIC 800点以上ないと難しいと言う人もいますが、僕は長文リスニングも、なるべく早くやり始めた方がより効果が高いと思っています。ネイティブの会話スピードについていけるようになるためには、それを体験することなしには始まりません。
ですので、興味がある人も、一度やってみて挫折した方も、ぜひチャレンジしてみてほしいと思います。
ただし、選ぶオーディオブックは自分の力に見合ったものであることが必要です。この記事では、オーディオブックを聞けるようになるために必要なことを英語力のレベル別にまとめました。目次で自分の英語力に見合ったパートを選んで選んでみてください。
クリックできる目次
TOEIC600くらい、中学英語はかたまっている人
こちらでは下記のような人を対象に勉強方法をご紹介します。だいたい、中学英語をマスターしたくらいの実力です。このレベルの人はオーディオブックをリスニング教材として使いましょう。
(TOEIC 公式サイトより抜粋)
リスニング(370点まで)
- 短い会話において、特に語彙が難しくないときは、話の主旨、目的、基本的な文脈が推測できることもある。
- 長い聴解文において、情報の繰り返しや言い換えがあるときは、話の主旨、目的、基本的な文脈が理解できる。
- 短い会話において、簡単な、または中級レベルの語彙が使用されるときは、話の詳細が理解できる。
- 長い聴解文において、情報が繰り返され、解答に必要な情報が話の最初か最後に提示されるときは、話の詳細が理解できる。情報が少し言い換えられていても、詳細が理解できる。
リーディング(320点まで)
- 限られた長さの文章においては、簡単な推測ができる。
- 文章中に使われているのと同じ表現が問題に使用されているときは、事実に基づく情報に関する問題に正答できる。正しい選択肢が文章中の情報を簡単に言い換えたものであれば、事実に基づく情報に関する問題に答えられることもある。
- 一つの文、または二つの文にわたる情報を関連付けることができることもある。
- 簡単な語彙が理解できる。中級レベルの語彙を理解できることもある。
- よく使用される、規則に基づいた文法構造が理解できる。文法以外に難しい言語的要素(難しい語彙が使われている、情報を関連付ける必要がある)がある場合でも、文法的に正しい選択肢が選べる。
TOEIC600点ぐらいからでも、リスニングができる本はあります。800点にならないとオーディオブックは使えないという人もいますが、僕はむしろ今からスタートするほうがいいんじゃないかと思います。その理由は、聞くことを始めないといつまでたっても長文リスニング能力が伸びないからです。
シャドーイングだと、文章1つ1つのリスニングはできるようになるでしょう。それはそれで大事な練習です。だけど会話や、映画・ドラマを見るとなってくると、たくさんの文章が一気に流れてくるわけです。それを理解する力は、大量に流れてくる文章を処理するという実践じゃないと身につきません。
オーディオブックで長文に慣れよう
このレベルにいる人は、書いてある文章が読み上げられた場合に、その文章を目で追える一方で、音声のスピードのまま意味を理解することは難しいのではないかと思います。途切れることなく20個、30個の文章が読み上げられると、あっという間に取り残されてしまいます。
だから、繰り返しなんどもなんども、オーディオブックを聴きながら本を読むことが必要です。本の文章を見ながらオーディオブックを聞いて、目で追いかけるとともに意味を掴んでください。わからなかったところは止まって、きちんと意味を確認しましょう。ゴールは本を閉じてオーディオブックを聞いているだけで意味が分かり、ストーリーを楽しむことができるようになることです。
そのためあまり長い本を選ばず、簡単に繰り返せるものを選ぶことが必要です。音声のみで対応する本がないものは選ばないで、必ず本と音声をセットで購入しましょう。
ストーリーを楽しむことができているのであれば、僕もいちいち辞書を調べないで、まず読み終えることをおすすめしたいです。しかし、この段階では読めば読むほどわからないことだらけで、ストーリーを楽しむ段階には至っていないかと思います。
この段階でわからないことを飛ばしているとためになりません。音声と文章を一致させることができ、かつその意味が音声のスピードで理解できるようになることが必要です。
おすすめのオーディオブックはYL2まで
読みやすさレベル | TOEIC |
---|---|
YL0.0~0.8 | 500点 |
YL0.5~1.8 | 600点 |
YL0.5~3 | 700点 |
YL1.0~4 | 800点 |
YL1.0~5 | 900点 |
YL1.0~6 | 900点超え |
具体的な教材としては、CD付きのGraded Readersや、ネイティブの子供向けの本をオススメします。
一般書のオーディオブックは初期の学習者向けのレベルは超えているので、それらについてはTOEIC800点を越える実力になってから取り組むべきです。
YL3からは、本とオーディオブックのセットが選びやすくなります。一度YL2の本を読んで読みこなせるようになって自信がついたら、YL3にステップアップしましょう。常に自分のレベルよりも少し上のオーディオブックを選ぶのが上達のコツです。
同じ本を3回は繰り返す
あなたはオーディオブックが聞けるようになりたくてこのページに来ていると思います。上でも少し触れましたが、同じ本を最低でも3回は繰り返し聞きましょう。
文法や語彙力の勉強に止めるのであれば、一周すれば十分かもしれません。でもオーディオブックを音声だけで楽しむためには、スピードや発音やアクセントに体をならす必要があります。あなた自身、一回読み終えて勉強しただけでは、音声だけで完全に理解する自信はないのではないでしょうか。
本を見ながらでいいのでもう1回通して聞いてみてください。1回目とは別の力がついていくのがわかってもらえると思います。それが体で覚えるということです。
一冊につき3回くらいは繰り返しながら、少しずつ本のレベルを上げていってみてください。5冊から10冊もやれば、下の TOEIC 800点のステップに進むことができると思います。
TOEIC800点以上、英語は人より自信がある人
こちらは洋書を何冊か、読書としてはすでに読んだことがあって、その上でオーディオブックが難しいと感じている人が対称です。
TOEIC が800点以上取れているということは、実力的には、易しい小説であれば読める力はついています。その上でオーディオブックが聞けないということであれば、スピードが足りないか、リンキング、リダクション、フラッピングへの対応力が足りないことが考えられます。もしくは選んでいるオーディオブックが難しすぎます。
リンキングとは、単語同士がつながって発声され、音が単体のときと変化することです。(kind of が、「カインダブ」のようになる)
リダクションとは、ほぼ聞き取れないレベルにまでボリュームが下がっているか、そもそも発音されていないことをいいます。(kind of が、「カインダ」のようになる)
フラッピングとは、tの音がrになることを言います。(shut upが、「シャラップ」のようになる)
いずれにせよやることは、量をこなして英語に慣れることです。一般書のオーディオブックに挑戦して構わないと思います。
おすすめのオーディオブックはYL4まで
ただし選ぶ本はよくよく吟味することが必要です。TOEIC 800点だと、YLは4まで、Graded Readersはレベル6を読むことができます。
YL | TOEIC |
---|---|
YL1.0~4 | 800点 |
YL1.0~5 | 900点 |
YL1.0~6 | 900点超え |
Graded Readersは学習者向けの本とはいえ、なかなか甘く見たものではありません。自分の実力を再確認する意味で、是非選択肢に入れてみてください。
初めは文字を読みながら聞こう
注意点として、このレベルの人も必ず音声に対応した書籍を入手して、文字を目で追いながらリスニングをしましょう。初めは本を読みながら音声を聞いてください。読みながら聞く時点で簡単に思えなければ、文字を見ずに音声だけで、スピードについていきながら理解することはできないと思います。
読みながら聞く、この方法で量をこなせば、いずれは音声だけで理解することができるようになります。ただし、ただ楽しんでいるだけでは英語力は伸びません。読んでいる時に、付箋とマーカーでこれをやっておきましょう。
- わからない表現をマークする
- ページに付箋をはって目印をつける
振り返るのは一段落してからか、一冊読み終わってからで構いません。これをやっておくことでその本はあなただけの貴重な教科書になります。物語を楽しんだぶんだけ、その表現はあなたの血肉になり、忘れにくくなります。
どんどん新しい本を読もう
このレベルの人は同じオーディオブックを繰り返し聞く必要はありません。どんどん新しいオーディオブックと本を買って、付箋とマーカーであなたのものにした教科書を増やしていきましょう。
2、3冊も読めばレベルが目に見えて上がっているのが感じられるはずです。余裕が出てきたら本を伏せて耳だけで聞いてみましょう。もう聞くだけで楽しむことができているんではないでしょうか。おめでとうございます、これであなたもオーディオブックを使いこなすことができるようになりましたね。
英語そのものがやりはじめ、または中学英語に自信がない人
YL1.0までの、Graded Readersのレベル1の中から、CD付のものを選んでリスニングをやりましょう。
このパートではTOEIC 600点未満の人を想定して、勉強方法を紹介します。TOEIC を受けたことがない人は、中学英語が仕上がっていれば、TOEIC 600点は取れるといわれています。
下記で、どういう力が必要なのかを確認してみてください。
(TOEIC 公式サイトより抜粋)
リスニング(270点まで)
- 短い会話において、表現が直接的で、予想外の情報が提示されることがなくても、話の主旨、目的、基本的な文脈が理解できない。
- 長い聴解文において、広い範囲にわたって情報を関連付ける必要があるとき、もしくはやや難しい語彙が使用されるときは、話の主旨、目的、基本的な文脈が理解できない。
- 短い会話において、やや難しい語彙が使用されるとき、もしくは構文が複雑なときは、話の詳細が理解できない。否定構文が使用されるときは、詳細が理解できない。
- 長い聴解文において、解答に必要な情報が話の途中で提示されたときは、話の詳細が理解できない。言い換えられた情報や難しい文法的な構造が理解できない。
リーディング(220点まで)
- 文章中の情報について、推測ができない。
- 事実に基づく情報の、言い換えが理解できない。解答するとき、問題に使用されているのと同じ単語や句を文章の中から探すことに頼る。
- 一つの文中の情報さえ、関連付けることができないことが多い。
- 限られた語彙しか理解できない。
- 文法以外に難しい言語的要素(難しい語彙が使用されている、情報を関連付ける必要がある)がある場合は、簡単な文法構造も理解できない。
長文のリスニングをこのレベルでも有効ですが、並行して基礎的な英語力も身につける必要があります。
このレベルでも特に英語をやりはじめの人は、文章を見ながら音声を聞いた時に、文章を追いかけることができないと思います。その場合、そもそも英語の発音が理解できていません。まず基礎の力を身につける必要があります。
オーディオブックを聞くために必要な基礎力
基礎力と言っても、どういう力をつければいいのでしょうか。それは下記の二つです。
- 発音への慣れ
- 英文法への慣れ
発音への慣れ
敢えて慣れと書きました。英語はお勉強ではありません。頭での理解ではなくて、体で覚えることが大切です。体で覚えているからこそスピードの速いリスニングも理解することができるし、喋る時にも言いたいことがすぐに口から出るんです。
発音に慣れるには、口を動かして、口で発音を覚えましょう。発音を鍛えるこちらの本では、
- 口の開き具合
- 唇の使い方
- 舌の置き場所
がイラストになっていますので、それを真似て発音を練習しましょう。ネイティブの音声が入った CD が付いていますので、自分の声とネイティブの声を聴き比べて発音を修正して行きましょう。一回10分、週に2回ずつでもやれば確実に向上します。
英文法への慣れ
文法についても口を動かすことで慣れ親しんでください。音声データのある例文を繰り返し聞いては喋ることで、単語や熟語、文法、それに英語特有の発音や、イントネーションも体に叩き込むことができます。
例文が載っている単語帳は数あれど、例文で覚える単語帳はこれしかありません。
560個の例文に
1000の熟語が
重複なく
凝縮されています。なんて効率がいいんでしょう。この例文を何回も繰り返して読んで覚え、発音を身につけましょう。
その時、CD の音声を聞いては真似るということを繰り返しましょう。先ほどの発音を鍛える本で発音の方法を確認しながら例文を喋ることで、少なくともその例文に関してはネイティブに通用する必要レベルの発音を身につけることができます。
この時注意して欲しいのが、発音だけにこだわらず、語彙を増やし文法知識を増やし、英語力に関わる全ての能力を向上させるつもりでやるということです。今ご紹介した方法はシャドーイング・リピーティングという方法ですが、発音を良くすることだけに意識がいってしまうと、せっかくの時間が無駄になってしまいます。
シャドーイングやリピーティングには、その例文を完全に理解して行うことで、英語に対する瞬発力を上げることができるという素晴らしい効果があります。この効果を無視して練習してしまっては、効率は2割もしくは1割にまで下がると言っても過言ではありません。
DUOに関してはCD を別途買う必要がありますが、総額でも5000円ですので、この投資から得られるリターンの比率は何十倍にもなります。
これらのゼロからの英語学習についてはより詳しくご説明しているページがありますので、ぜひご覧ください。
まとめ
最も大切なことは自分のレベルに見合ったオーディオブックを選ぶことです。そして一冊やり終わったら次の本は少しずつレベルを高いものにしましょう。同じレベルのものを何百冊読んでも急に難しい本が読めるようにはなりません。
オーディオブックを買う時は本も必ずセットで買いましょう。わからない箇所は付箋やマーカーですぐに見つけられるようにしておくことで、復習がしやすくなります。
僕も昔は同じような読み方をしていて、そのおかげで英語力がぐぐっと伸びました。語彙は増えたし、処理スピードが飛躍的に伸びました。はじめは読み切れなかった本もありましたし苦労もしました。でも今は翻訳されていないような小説も、散歩しながら鼻歌交じりに楽しむことができます。わからない単語は当然出てきますが、音だけで辞書を引くこともできます。
地道に本数をこなしていくことで、あなたもそうなれる日が必ずやってきます。難しいオーディオブックがあったら、投げ出してしまって構いません。自分に合う本で、数をこなして見てください。あなたがより良い英語ライフを送れることを祈ります。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。