ドラマで惚れたジェイミーやクレアをもっと知りつつ英語力も向上!アウトランダーの洋書とオーディオブックレビュー

オーディブル・洋書レビュー アウトランダー多読多聴

2014年にドラマ化されて今も続いているアウトランダーのオーディオブック・洋書レビューです。このドラマは世界でものすごくヒットしていて、スピンオフ作品すらAudible に並んでいるほどです。海外ドラマが好きな方はもう皆さんご存知なのではないかと思います。

小説を読むとやはりドラマでカットされているシーンの読めるのでクレアやジェイミーの考えている細かいことも分かって面白いですね。ジェイミーはあくまでクレア視点で描かれているので、いろいろ美化されてしまっていますが、女性はクレアに感情移入できるという意味でジェイミーの隙のないイケメン具合も楽しめるんではないでしょうか。

僕としてはイングランドとスコットランドの溝の深さをリアルに感じることができたという意味でとても楽しめました。ちょっと難易度が高いので簡単にオススメしにくいという意味で下記の評価とさせてもらっています。

町やお城、名所など観光しても楽しいネタが盛りだくさんなので、この作品を予備知識としてスコットランドに旅行しに行くのも楽しいかもしれませんね。

ぞうさんのおすすめ度 ★★★★☆
以下の人におすすめです。

  • バイキングものが好きな人
  • イギリスの歴史に興味がある人
  • 大人の恋愛が好きな人
  • 男のプライドが好きな人
  • 戦士の哲学、美学が好きな人
  • 民族的な知識に興味がある人
  • マニアックな性癖に耐性がある人

あらすじ

1945年、スコットランドに夫と旅行に行った主人公クレアは、ストーンヘンジに触ることで200年前にタイムスリップしてしまいます。その頃のスコットランドはイングランドに併合されたばかりで、それが気に入らない一部のスコットランド人はイングランドへの反乱を企てていました。

浦島太郎のように一人も頼る人のいないクレアは、スコットランドの貴族に拾われます。しかし、ゲール語を理解せず、スコットランド訛りのない英語を喋るクレアは、イングランドからのスパイであることを疑われます。それでなくても未来から来ているし、完全な余所者、アウトランダーなんですね。看護士であるクレアはそのような状況の中、未来の医療知識で怪我人を助けることで信頼を得ようとします。そんな中クレアは勇気と活力がはちきれんばかりの若者ジェイミーと出会います。未来においてきた夫に操を立てようとするクレアですが、徐々にジェイミーに惹かれていきます。

歴史的背景

世界でも日本でも相当流行ったドラマなので、詳細な解説は至る所で見つけられると思います。なのでここでは、背景知識ゼロの人が、大雑把でも簡潔に把握できるように解説します。

キーワードはひとつだけ、ジャコバイトという言葉です。スコットランドには昔ジェームスという王様がいました。この王様が治めていたころはスコットランドが勢力が強かったので、イングランドの王にもなっていました。クレアがタイムスリップした先の1743年では、この昔強かったジェームス王にあやかって、イングランドをやっつけようという合言葉として反乱運動にジェームスにあやかった名前を付けたんです。ジェームスとジャコバイトはJ の字しか共通していないですが、ジェームス王にちなんでいるんです。

クレアを保護した貴族の配下にもジャコバイトはいて、ジェイミーはこの運動に巻き込まれていくんですね。浦島太郎状態のクレアが一番仲がいいのがジェイミーなので、クレアも必然的に巻き込まれていきます。というより、クレアは未来から来ているのでジャコバイトがイングランド軍に鎮圧され、大量に戦死する運命を知っているわけです。負けることが分かってる戦ですから、特にジェイミーがこの戦でなくなってしまうことはクレアは止めたいわけです。でも未来から来たこと自体は誰からも信じてもらえるわけがないので、クレアが苦労することは簡単に予想できますね。

ちなみに今でこそスコットランドとイングランドは同じイギリスという国の中にありますがちょっと前にスコットランドの独立が議論になった事でもわかるように住民たちをお互いに全く違う存在だと思っています。

イギリス地図

人種的にもルーツが全く違っていて、乱暴だがわかりやすく分けると、イングランドはアングロサクソン人。スコットランド人はゲール人です。元々は喋る言葉も違います。英語はイングランドのアングロサクソンの言葉ですが、スコットランド人はゲール語を喋っていました。例えばスコットランドはウイスキーで有名ですが、ボトルの名前にはゲール語の地名が使われていてます。

混血はしているでしょうが人種的に大きな違いがあるためスコットランド英語は強い訛りがあります。僕自身も、スコットランドの北のはずれオークニー島まで旅をしてきましたが、特にお年寄りの言葉はとても聞き取りにくかったのを覚えています。

豆知識

スコットランドの地図を見ると、今でもゲールがの名残がを見つけることができます。一番わかりやすいのが湖で、レイクではなくloch(ロッホ)と書かれています。グーグルマップでも見ることができますので是非見てみてください。

作中にもウイスキーが出てきますが、「お客さんに出すボトルの年数で新密度が測れる」という話をオークニーの蒸留所で聞いてきました。「8年物が出されたら、正直歓迎されていない。12年から15年が出てくれば、友達だと思ってくれている。30年が出てくればまさに心の友。」だそうです。
(ちなみに豆知識ですらありませんが、僕はスコッチが大好物で、ブナハーブンとクライヌリッシュ蒸留所のものが特に好きです。)

本作のはじまりの舞台であるインヴァネスの町の近くの蒸留所だとダルモア、グレンオールド、グレンモーレンジあたりでしょうか。これらを飲みながら本作を読むと、より気分が盛り上がるかもしれません。

上の図のとおり、イングランドとスコットランドとウェールズはそれぞれ自国の旗を持っています。イギリスことグレートブリテン及び北部アイルランド連合王国の国旗は、これらの三つの国旗が重ね合わせられて出来上がっています。

使われている英語

curtsy

ドレスのすそをつまんで上半身を沈ませるお辞儀です。誰もが海外ドラマで見たことがあるんじゃないでしょうか。名前がついてたなんて驚きですね。クリアが領主とご対面した時にこの挨拶をします。

lass,lad

lassとlad。イギリススラングで女と男

イギリスのスラングで lass が若い女性、lad が若い男性です。クレアはこのラスが変形してlassieとよく呼ばれています。本作に限らずイギリスの小説ではよく使われるので、覚えておいても損はないと思います。どっちがどっちだか分からなくなりそうですが、Missに似ているlassが女性と覚えましょう。

man-at-arms

完全武装した下馬騎士

字を見ると、武装した男程度の意味合いですがルネッサンス頃には兵種の名前にもなっていたようです。いい装備を身につけて武器の扱いにも長じている戦士のことを指しているようです。サムライに近いイメージかと思います。歴史ものだけでなくファンタジーにもよく出てきます。

難易度

本の難易度

YLは8を付けている人がいました。語数は30万語です。簡単に手を出していい本ではないと思います。YL7の本がストレスなく楽しめるような人が今年一番の挑戦として挑むべき題材だと思います。

スコットランド訛りは会話文にしか出てきませんが以下のように表現されています

”Ye wouldna expect me to be less bold than a wee Sassenach lassie, now would ye?”

これ、サラッと理解できますか?

オーディオブックの難易度

本作の吹き込みをしているDavina Porterさんは女性で、その演技はドラマのクレアのような高い知性とプライドをもつ淑女を感じさせます。またスコットランド訛りも忠実に再現しています。この訛りがオーディオブックの難易度を非常に上げています。Audible のレビューを見ると、「この声優は物語に息吹を与えた」とか、「忠実なハイランドのアクセントを持っている」と絶賛されています。僕も声優さんはキャラクターの表情まで映し出していて、聞き取れる部分は存分に楽しみました。ですがこの訛りが、書籍の読みやすさレベル以上に難易度を上げています。僕は音声のみでは理解が落ちる部分があり、kindle版を買ってスクリプトを見ながら読みました。

まとめ

ストーリーは大ヒットしているだけあって文句の付けようがないです。歴史や国際情勢の面からためになりますし、ジェイミーは生き様がかっこいい。クレアの淑女っぷりも楽しめます。オーディオブックならそれらの要素がさらに色彩強く映し出され、声優さんの演技も楽しむことができます。

腕に自信のある人、挑戦しがいのある作品を探している人は是非読んでみてください。

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