日本人に足りないのは、量です。英語に触れる量が足りません。どうやって量をこなすか、その手段の選び方と、無理なく達成できる現実的な目標設定の方法をお伝えします。
量をこなすことで、はじめて英語になれることができます。読み聞きのスピードが上がり、会話に必要な瞬発力が上がります。習得している語彙や表現のさまざまな使われ方に触れて、表現力が向上します。
僕が英語力を伸ばしたのは洋書の多読なので、それを例にとって、成功と失敗を分析することで、量をこなすための、正しい手段と目標の決め方を説明します。あなたが目標を立て、英語力をつけることの助けになれれば幸いです。
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自分が好きな手段を選ぶ
はじめに考えるべきは、自分がなにが好きか、です。僕の場合は、読書でした。
この発想に至ったときから、英語が伸びはじめました。小さいころから読書が好きだったので、趣味としてやりつつ、ついでに単語を覚えたりできるんじゃないかと考えたんです。
この発想は当たりでした。多読では、100万語が、実力が大きく伸びるラインだと言われます。(一般的な小説で1冊5万語以上)僕はこの100万語を目標に、とにかく読みまくりました。結果、確かに、僕の英語はものすごく伸びました。
読むスピードは圧倒的に速くなったし、自然に英語で考え事をしていることがあるようになりました。寝ているときも、英語の夢をみるようになりました。TOEICなんかの試験での文法問題、たとえば前置詞などを選ぶときも、考えたり悩んだりせず、直感で解答するようになりました。今では500万語を超え、洋書読書は立派に僕の趣味になりました。(主にファンタジーや歴史フィクションを楽しんでいます。)
この経験で良かった事は、こんな感じだと思います。
- 自然に量がこなせる手段だったこと
- 目的がはっきりしていたこと(読書が楽しめるようになりたい。)
- 数値目標に根拠がともなっていたこと
- 一人でできることだったこと
- 成長を実感できる客観的な尺度があること
ひとつづつ解説していきますね。僕は多読がオススメなので、納得してもらえたら、ぜひ始めましょう。読書が嫌いな方は、これにならって上手に自分なりの方法を見つけてもらえればと思います。
目的をはっきりさせる
次に、目的意識をはっきりと持ちましょう。僕にとっては、英語で読書が楽しめるようになりたいというのが、洋書を読む目的であり、大きなモチベーションでした。それは今も続いていて、文学表現とか、ジョークとか、より高度な作品が楽しめるようになりたいと思いながら読書を楽しんでいます。
見栄っ張りですが、「英語の本なんか読んでたらカッコイイよね」というところもありました。それで別にカワイイ女の子が話しかけてくれたりすることもなく、完全に自己満足なんですが。
達成したら、大いに自己満足できる。それも、停滞して、スランプに陥って、先に進めないときには、この目的が背中をおしてくれます。でも、これは人それぞれに違うものなので、自分を良く振り返って、あなた自身の目的を持つ必要があります。
あなたは、あなたの選んだジャンルを楽しみながら、どんなふうになりたいですか?
手段の選びかた
自然に量がこなせる手段であること
好きなものを選ぶこととも通じますが、手段に依存する特性もあると思います。僕がえらんだ読書は、1冊づつの量が多いという有利な特性がありました。初級レベルだと文字数も限られているのですが、ふつうの小説になると少なくとも5万語はあります。100万語ならば、たった20冊選べばクリアできることになる。
簡単だと言っているんではありません。選ぶジャンルによっては、この、題材を選ぶ手間というのが膨大になってくるんです。
たとえば、僕の最初の海外旅行でアメリカで出会ったイスラエル人のラムジーは、ヒット曲に合わせて一緒に歌うことで英語が話せるようになったと言っていました。(歌ってみせてくれたのはいいんですが、ひどい音痴だったのを覚えています。)
英語の楽曲1曲に含まれる語数は、100語から300語だそうです。僕のリサーチが甘いことを加味して、500語と見積もっても、100万語をこなそうと思えば、2,000曲を選ばなくてはいけません。
題材(洋書なら本)を選ぶのは、結構大事なんです。今でも本選びには時間をかけます。ストーリーが面白そうかはもちろん、自分のレベルに見合っていなければいけません。でも、20回やれば済む。字数の少ない簡単な本からスタートしても、50冊くらいに収まるでしょう。さっきの2,000回に比べれば、たいしたことは無いですよね。
だから、題材選びが大変でない方法を選びましょう。僕たちが時間をかけるべきは、題材選びじゃなくて、本なりあなたの好きなものなり、作品自体を楽しむことなんですから。
根拠のある、具体的な目標が設定できること
目的がなりたい自分なら、目標はそこへ到達するための手段です。洋書読書を楽しめるようになりたいから、100万語を読む。
具体的な数字を決めることが大切です。そして、それが客観的で、実証されている数字であればあることが大切。そこまでいけば、英語が伸びる!と、信じることができるかどうかが、そこにかかっています。この点、洋書多読の100万語というのは、昔からみんなが目標にして、達成して、目に見えて上達を感じてきた、確かな指標なんです。
このサイトは洋書多読をやるのにとても参考になるサイトで、(別記事で詳しくご紹介します)見てもらえれば、100万語がという数字が、誰もが目指す、客観的な根拠のある数字だと言うことが分かってもらえると思います。
信頼できる数字だからこそ、そこに向かって突き進むことができたんですね。
一人でできる手段であること
これは明確だと思うので、あまり語ることもありません。誰かと一緒にやろうというのは、大体失敗します。自分がいくらやる気があっても、相手の都合が悪かったら進められないんですから。
途中の段階で、成長を客観的に評価できる手段であること
洋書多読100万語というのは、長い道のりです。他のジャンルを選んでも同じでしょう。
だから、途中で絶対にダレるし、なにかに背中を押してもらう必要があります。
洋書の場合、YL(読みやすさレベル)という客観的な指標があります。YLで分類している書店もあるくらい。100万語をこなしていくなかで、少しずつYLの高い本を選んでいく。これだけで、成長を実感できる。
権威のある方々がレベルを設定して、社会がそれを指標にしている。そんなYLが背中を押してくれるんです。これなら一度立ち止まってしまっても、また突き進んでいけますよね。
失敗から学んだこと
ぞうさんは、100万語の多読は達成しました。でも、実はやり方があまりうまくありませんでした。そのせいで、とても遠回りをしてしまったんです。具体的には、読書に入る前に、単語帳を10冊もやってしまったんです。語彙が少なくたって、読める本はあるというのに。
本を読みながら語彙をふやせば、あんなに時間と労力をかけて、地味な単語帳だけをやっている必要はなかったように思います。同時進行しながら、新しく覚えた語彙を、読書で見つける楽しみもあったことでしょう。
僕が多読を始める前に考えていたことはこれです。「知っている単語が少なかったら、本なんか読めないんじゃないか」「まだ自分にはムリ。準備しなきゃ。」
結果的に、その単語帳でも語彙は増えたので、いいこともありました。でも、単語帳10冊なんてそもそもやる気が起きない。僕も今やれって言われてもムリです。それに、想像するに、半年以上はムダにしたような気がしています。本当は半年早く、今の英語力に到達していたはず。
洋書は語彙250語から読めるものがあります。量をこなすために、準備はひつようありません。あえて遠回りをしたければそれも自由だけど、やりたいと思ったならば、今、始めましょう。
こちらの記事も、あわせてお読みください。
難しくない!はじめての洋書におすすめの本と、その選び方
まとめ
英語力を向上させるのに欠かせないのが、量をこなすことです。量をこなすために、以下のアプローチで題材を選びましょう。
- 自然に量がこなせる手段であること
- 目的が伴うものであること
- 根拠のある数値目標が立てられるものであること
- 一人でできるもの
- 成長を実感できる客観的な尺度があること
そして、今すぐ始めてください。早すぎるなんてことはいつだって思い込みに過ぎないんです。僕は、多読を始める前に単語帳10冊を暗記したことは後悔しています。もちろん無駄ではないけれど、順番を変えてもよかった。
(単語帳について「今なら過去の自分にこんな覚え方をするよ」ということを書いた記事がこちら)
会話ですぐ出る、身につく単語帳の覚え方
みなさんには、苦しい思いをしてほしくありません。洋書でもなんでも、楽しさを感じながら続けて欲しい。大丈夫です、すぐに読めるようになるし、面白くなってきます。そうしたら、100万語だって200万語だって、いくらだってこなせるようになります。まずは自分が何が好きで何なら続けられるのか、考えてみてください。そして、英語話者への第一歩を踏み出しましょう。あなたがより良い英語ライフを送れるよう応援しています。