thの発音はコツさえ分かってしまえば簡単です。誰にでも、あなたにも、ネイティブに伝わる発音ができるようになります。thの発音を音声付きで解説します。
内容は、2年間100人以上と問題なく会話してきた実績と、アメリカの大学などのサイトの参照に基づいて書いてありますので、安心してご覧ください。
thには声帯を使う音と、息だけを吐く音がある
それぞれ有声音、無声音といいます。thだけは、同じつづりで有声音、無声音いずれもの音が存在します。口の形や使い方は、全く同じです。声帯から声をだしているのか、声帯は使わず息だけを出しているかの違いです。
以後、声帯から声を出す有声音は赤、息だけをだす無声音は青で書いていきます。
有声音のth /ð/ 声帯を使って声を出している
無声音のth /θ/ 声帯は使わず息だけを出している
舌の先端を上の前歯と下の前歯の間に置く
歯は、舌を噛むのではありません。挟むのでもありません。上下の前歯を2~3ミリくらい開けたら、ただ単純に舌先をおいてください。
theの舌と歯の位置の話に戻ります。空気が舌と歯の隙間を通るときに、舌と歯を振動させてはじめて正しい音が出ます。ですので、舌が歯に触れているだけで大丈夫です。噛んだり挟んだりするとth の音が出なくなります。
また、舌は出し過ぎなくて大丈夫です。写真や動画で、5ミリ~1センチも舌を突き出している例もありますが、考え物です。正しい音は出せますが、舌を出しすぎると他の音への移行がしにくくなり、会話スピードで運用できません。
唇は使わないのでリラックスさせてください。
そのまま声を出して、空気を摩擦させる
上で作った形のまま、歯や舌をそのまま一切移動させずに声を出してみてください。このとき、thは摩擦音ですので、空気を歯と舌の隙間で摩擦させます。
大事なので繰り返します。わからなくても、今は受け入れてください。きちんと説明しますから、大丈夫ですよ。
thは摩擦音 空気の摩擦がth
摩擦ですので、舌先は当たっていても、ほかの部分で隙間ができていてはいけません。歯と舌の隙間は、舌で埋めてください。といっても、完全に埋めると空気が出ません。コンマ1ミリの隙間から息を出すのです。
どうでしょうか、冒頭の音声のように、うまく空気を摩擦させられたでしょうか。
日本語の摩擦音で考えてみる
それでもよく分からないという方は、日本語でまずは摩擦音の感覚をつかみましょう。実は、「静かにしてっ!!」の、「シーーッ!!」は、摩擦音で、かつ無声音です。
無声音 「シーーッ!!」
声帯は使わず(声を出さない)、ブレス(息)だけを出しているのが分かるでしょうか。
これを、th の形に変えてそのままだせば、それで無声音のth はオッケーです。
無声音 th /θ/
どうでしょうか。できそうな気がしてきませんか?
何回も繰り返しますが、th は摩擦音です。空気の摩擦の音です。このことを頭に入れたまま、次にいきましょう。
次は有声音です。
日本語の「ざ じ ず ぜ ぞ」も摩擦音です。スポーツジムの「ジム」を、ものすごくゆっくり言ってみてください。なんどか繰り返していると、この摩擦の感じがつかめてくるはずです。
有声音 ジム → じぃぃぃむぅぅぅぅ → j /ʤ/
音声のように、「じ」から日本語の母音「い」を抜くことができたら、それは英語のj/ʤ/の音です。摩擦音には長さがあり、継続して音を出すことができるという特性がありますから、飽きるまでjで練習しましょう。
j音で、摩擦音の有声音がどういうものなのか体でつかんだら、それを thの形でやると、上手くいくと思います。
有声音 j /ʤ/ → th /ð/
実際の発音では長く発することはありませんから、短く発したthに英語の母音を当てはめてあげれば、完成です。
thの単語の発音
有声音のth /ð/ that then this though
無声音のth /θ/ thin through bath month
繰り返しになりますが、口の形は/ð/と/θ/で全く一緒です。声帯からの声なのか、ブレス(息)なのかを使い分けられるようになりましょう。
素早く舌を抜くと説明する人もいますが、そんなことを考える必要はありません。thのあとの音を発しようと思えば、自然にそうなります。
なお、アメリカ式だと、舌は上の歯の裏に当ててこの音を出すようです。若干音は異なりますが、歯の間に入れるより前後の音との接続がやりやすいとか。僕はこちら方式は苦手で使えませんが、確かに挟む方式だと舌が回らない感はあります。お好みで選んでもらえればいいと思います。
まとめ
th は空気の摩擦の音でした。口の形は同じで、声帯を震わせて声を出すのが、有声音 /ð/。声帯を使わず息だけを出すのが、無声音 /θ/でした。
旅で100人近くの英語話者と話してきた実感からすると、これらthなどの子音さえくっきりしていれば、母音は適当に似ているだけでも十分に理解してもらえます。だから下手でも大丈夫。
僕より上手い人だってたくさんいるけど、僕より下手で友達がたくさんいる人もいます。僕より発音が下手でも、ものすごく口が回る人もいます。最低限を押さえたら、あとは誠意や思いやりや熱意の問題です。
発音は一度覚えれば忘れない一方で、身につくまでは筋肉が疲れたり、しんどい部分もあると思います。マイペースで、がんばってみてください。
記事を作るに当たり参考にした海外サイト:
Brain and Language / Tulane University
Learn to Pronounce Sounds in American English / Seattle Learning Academy