こんにちは、今日はディズニーのアラジンから、名曲「A Whole New World」の文法解説です。
歌の内容が本当に素敵ですね、冒険心もあるし、女性にとってはロマンそのものじゃないでしょうか。
英語表現も、面白いものがいくつもあるので、ぜひ見ていってください。
クリックできる目次
文法解説
a whole new world
タイトルにもなっているこの a whole new world はどういう意味でしょうか。
world は「世界」ですが、物理的に地球のことを指しているわけではありません。
僕らが住んでいる地球を世界として指すときは、the world と言います。
誰からもひとつに特定できるので、the がついているわけです。
歌では a world となっているので、「たくさんある世界の中の、不特定のひとつ」です。
それは、「生きている人間一人ひとりを取り巻く世界」であり、「人生」とも置き換えられる言葉です。
ケンブリッジ英英辞書より world : 特定の活動の領域
world
a particular area of activity:
cambridge dictionary
Our world of work is changing rapidly.
the world of advertising/the internet
the business/corporate world
(歌の一番最初は the world なので、「(ぼくらが住んでいるこの)世界を見せてあげる」です。)
そして、whole new「全く新しい」とも言っています。
a whole new world は「お姫様、わたくしがお城という狭い世界から連れ出して、全く新しい世界を見せて差し上げましょう」という意味になります。
アラジンがジャスミンを連れ出したあとは、let me share this with you と言っています。
その後、二人で live happily ever after 末永く幸せに暮らしたなら、その新しい世界は、二人の世界になるわけですね。
When did you last let your heart decide?
last は「最後に」です。
let は「自由に~させる」です。
let は「○○に~させる」という使役動詞 make, have, get, let のうちのひとつ。
make が「強制的に~させる」のと対照的に、let は「自由意志にまかせて~させる」です。
では let your heart decideはどういう意味になるでしょうか。
「○○に~させる」の○○に your heart、~に decide を当てはめれば、「君の心に決断させる」となります。
ジャスミンは、お姫様という立場ですから、身分や宮廷の作法やしがらみなどに縛られて、本能のままに自由に振舞うことはなかなかできないでしょう。
理性(mind)ではなく、心(heart)に決断させるとは、「心のままに決める」「心の底から正しいと思う決断をする」という意味になります。
Take you wonder by wonder
take you は、前の文章の I can を受けて、I can take you ~ で「~へ連れていってあげられるよ」です。
wonder by wonder が文法的にどうなっているかを知るには、基本形の one by one をまず確認しましょう。
one by oneは「ひとつづつ、次から次へ」です。
separately, one after the other:
cambridge dictionary
One by one the old buildings in the city have been demolished and replaced with new high rises.
They entered the room one by one.
辞書の定義の中に、one after the otherとあります。
これをまた引いてみると、「たくさん、順番に」つまり「次から次へ」です。
many, in a series:
I’ll eat chocolates one after the other until the box is finished.
つまり wonder by wonder は、「たくさんの世界の不思議を、次から次へ」となります。
indescribable feeling
indescribable は「表現することのできない、言い表せない」です。
長くて難しい単語は、いちど分解してパーツを理解しておくと、他の単語も分かるようになれます。
この indescribable は in – de – scribe – able に分解できます。接頭辞、語幹、接尾辞などといいます。
in- には “not, opposite of” 「違う、反対の」という意味があります。(ラテン語起源)
de- は “down, off, away”「下に、~から分離して、離れて」という意味があります。(ラテン語起源)
scribe は「写本筆写者」という名詞です。indescribable の語幹(単語の中心)です。
de- を名詞 scribe につけると動詞になります。describe 「書く、言う、表現する」となります。(=to write down)
-able は「~できる」です。なんとなく分かっている人も多いかと思います。(ラテン語起源)
英語の起源小話 接頭辞・接尾辞にはゲルマン語とラテン語がある
indescribable が分からない人が多い一方で、直前の unbelievable は分かる人が多いんではないかと思います。
「表現できない」「信じられない」とほとんど同じなのに理解の差が出るのは、unbelievable の un-「反対の」は、in- と同じ意味なのに形が違うからかもしれません。
同じ「反対の」の接頭辞に、カタチが違うin- と un- があるのは、語源になっている言語が違うからです。
in- はラテン語起源ですが、un- はゲルマン語起源なんです。
英語はゲルマン語を起源としていて、古代ローマ人が話していたラテン語を直接の起源とはしていません。
ですが、イギリス人はフランスを占領したりされたりして、フランス人と長いこと殺しあったり愛し合ったりしてきたので、英語はフランス語の影響を強く受けているんです。
フランス語はラテン語を起源とした言葉なので、英語にはゲルマン語の要素とラテン語の要素があるわけです。
こういうことを知っていると、「なんで違うんだよ!いみわからん!」という不満が少しは解消されて、新しい知識を頭に入れる準備もできないかな、と思ってちょっと小話を書いてみました。
don’t you dare close your eyes
ここでの dare は、「一線を越えて~する」です。動詞です、注意!
dare は日本語には馴染まない動詞かもしれません。
ケンブリッジ英英辞典には、「難しいことや危険なことをするだけの勇気がある」「すべきでないことをしてしまうほど無礼あるいは愚かである」とあります。
to be brave enough to do something difficult or dangerous, or to be rude or silly enough to do something that you have no right to do:
cambridge dictionary
日本語に訳すなら、「あえて~する」「わざわざ~する」「愚かにも~する」となります。
たくさんの訳を覚えるよりも、「一線を越えて」というイメージを文脈に適用したほうが、使える知識になります。読んで理解するだけなら、わざわざ訳す必要もありません。
一線と言うのは、文脈によって、勇気の要るラインだったり、常識的に普通はしないことだったりします。
下記は dare の例文です。
I was going to ask if his dog was better, but I didn’t dare in case she had died.
「犬が元気か聞こうと思ってたんだけど、犬が死んじゃってた時のことを考えて、あえて聞くことはしなかったの。」
[ + (to) infinitive ]
Everyone in the office complains that he smells awful, but nobody dares (to) mention it to him.
[(to)動詞の原形]
「オフィスの誰もが、彼が酷い臭いがすると文句を言う。でもだれも敢えてそれを彼に告げようとはしない。」
[ + infinitive without to ]
I wouldn’t dare have a party in my flat in case the neighbours complained.
[to をつけない動詞の原形]
「俺なら部屋でパーティなんてばかなことはしないな。隣人から文句いわれることを考えたらな。」
Dare you tell him the news?
「わざわざ彼にそれを知らせるの?」
I don’t dare think how much it’s going to cost.
いくらかかるか、考えるようなことはしないでおくよ。
red-letter
このred-letter は、直訳すると「赤い文字」です。
辞書を引けば、カレンダーの赤い日つまり「祝日の」とあります。
またそこから転じて、「記念すべき」という意味もあり、曲ではこの意味になります。
red-letter
the dictionary.com
adjective
marked by red letters, as festival days in the church calendar.
memorable; especially important or happy:
a red-letter day in his life.
まとめ
ストーリーがあると、英語も覚えやすくていいですよね。
映画が好きになって、思い入れもできて、その気持ちと英語が結びついたら、「覚えられる」というより、「気付いたら覚えちゃってた」になりますよね。
感情移入できる曲で、ぜひ英語の勉強をしてみてください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。