洋楽和訳解説 Green Day – 「Basket Case」 爽やかなあの曲が、実は精神病の歌だった!?

今日はグリーンデイの名曲「バスケットケース」の文法解説です。

爽やかでかっこよくて、僕なんかはこれがきっかけで洋楽を聴きはじめました。

ところが歌詞をよく見てみると、なかなかびっくりな内容です。

海外のサイトも参照して曲の解釈についても書いています。

あわせてご覧下さい。

楽曲解釈

パニック障害についての歌

この曲は、パニック障害妄執病についての歌です。

ボーカルの Billie Joe は、若い時期からパニック障害を抱えていました。

パニック障害と闘うために、彼はマリファナを常用していましたが(stoned)、それは彼を救いませんでした。

余計に混乱しているだけなのが、歌詞を見ても分かるかと思います。

彼は「それ(パニック障害)と闘う唯一の方法は、歌を書くことだった」と語っています。

“The only way I knew how to deal with it was to write a song about it.”

https://www.songfacts.com/facts/green-day/basket-case

曲名「バスケットケース」の意味

basket case は、「精神的におかしい人」という名詞です。

辞書には次のようにあります。

“極端に神経質もしくは不安にかられて、まともな生活が送れない人”
「コースが終わる頃には、僕はカンペキに basket case になっていた。」

basket case
someone who is extremely nervous or anxious and is therefore unable to organize their life:
By the end of the course I was a complete basket case.

cambridge dictionary

この歌が、ビリーがパニック障害と闘うために書いた曲だということを知っていれば、このバスケットケースの意味もすんなり納得できますね。

PVの内容

Youtube の動画も、よく見ると精神病棟のようになっています。

ギタリストが夢遊病のように歩いていってしまうのを、看護婦が連れ戻してギターを持たせたり。

ドラマーは車椅子で連れてこられて、演奏直前までスイッチが切れたようになっていたり。

ボーカルのビリーの目つきもどこかおかしいですね。

面白い演出です。

小説「ライ麦畑でつかまえて」との関連

サリンジャーの小説「ライ麦畑でつかまえて」にかけた表現があるようです。

Billie Joe は、この小説の大ファンだそうです。

「ライ麦畑でつかまえて」は、若者の目線から、大人の社交辞令や美辞麗句を「嘘ばっかりで真実がひとつもない」と文句をいう青春小説です。

この小説全体が、whining 「文句をいう」であるとも言えるわけです。

冒頭の “Do you have the time to listen to me whine?” がそれです。

また小説には、主人公ホールデンが売春婦(whore)を呼ぶけれども、結局行為はしないというシーンがあります。

つまらない大人というものを否定し反抗するホールデンの姿は、パンクロックの精神をよく表していると言えるのかもしれません。

グリーンディがパンクであるか自体も議論があるようですが、ひとつの教養として、「ライ麦畑でつかまえて」とこの曲を結び付けられるのがカッコイイことは間違いないと思います。

(僕は、この記事のために調べものをしていて初めて知りました)

「ライ麦畑でつかまえて」という小説は好き嫌いが大きく分かれる本で、その影響の大きさは、死ぬときは棺桶に入れてくれと言う人もいるほどです。

アメリカ文学に興味がある人は、ぜひこの「ライ麦畑でつかまえて」も読んでみて下さい。

(僕自身は、実はあまり好きではありません。読んでも途中で飽きちゃう。)

文法解説

whine

whine は、「不満を表すためにわめき声を上げる」です。

犬が騒いでいたり、子供が泣き喚いているときに使います。

「レオンの犬がドアのそばで座って鳴いてクーンクーンという高い悲しそうな声:youtube)たんだ、だから散歩に連れてってやった方がいいかなと思ったんだ。」

「アリスちゃん、そうやってわめき続けているなら、連れて行かないよ?いいね?」

to make a long, high, sad sound:
Leon’s dog was sitting by the door whining, so I thought I’d better take it for a walk.

disapproving
If you whine, especially as a child, you complain or express disappointment or unhappiness repeatedly:
Alice, if you keep whining I won’t take you – do you understand?

cambridge dictionary

at once

at once は「いっぺんに」「すぐに」です。

at once
immediately:
You have to call him at once .
At once also means at the same time:
Everything happened at once – she graduated, got a job, and got married, all in June!

cambridge dictionary

all at once だと「いきなり / 急に」になります。

all が上の「いっぺんに、すぐに」を修飾していると考えれば、覚えやすく、混同もしません。

all at once
suddenly and unexpectedly:
All at once there was a loud crashing sound.

cambridge dictionary

give myself the creeps

give 人 the creeps は「人をぞっとさせる」です。

“人や場所があなたに the creeps を give するという場合、それらの人や場所があなたを不安で恐ろしくさせることを言う。その不安や恐怖は、特にそれらが未知で奇妙なものであることが原因で引き起こされる。”

「その家はぼくをぞっとさせる」

give somebody the creeps
if a person or place gives you the creeps, they make you feel nervous and a little frightened, especially because they are strange
That house gives me the creeps.

longman dictionary

cracking up

crack upは「(精神的に)いかれる」というスラングです。

爆笑するという意味もありますが、この曲にはそぐわないでしょう。

crack up
to become mentally ill:
I think she’s cracking up.

cambridge dictionary

crackは「ひび、割れ目」です。動詞で使えば、「硬いものを割る」になります。

また、up は「完了」という意味を持ちます。

心にひびが入って、その割れ目が大きくなり、最後には割れてしまう。そして心がおかしくなってしまうという言葉の成り立ちです。

なお、爆笑の crack up は、「叫ぶほどの激しい大きな笑い」です。

laughing mad hard. Almost to the point of crying. Laughing you split ends off. more than giggleing or laughing

urban dictionary

まとめ

歌詞の内容が多少奇妙だったりしても、曲を嫌いになったりはしないですよね。

英語の勉強になることにも変わりはないので、あなたがこの曲を好きなら、繰り返し聞いて、一字一句覚えて歌って見ましょう。

そうすれば、英会話のときにも自然にでてくるようになります。

ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

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