「カントリーロード」として日本でもあまりにも有名な、John Denverの「Take Me Home, Country Roads」の解説です。
英文サイトを参照して、歌詞の解釈についてもいろいろと調べました。
日本語の和訳サイトもたくさんあり、古くてシンプルな曲だけに解釈も分かれているようですが、ここまでやっているサイトもなかなかないと思いますので、ぜひ読んでみてください。
そして、動画にあわせて気持ちよく歌いましょう!
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楽曲解釈
この歌はシンプルな歌詞であることから、昔から解釈について論争の絶えない歌のようです。
聞いた人が好きなように解釈すればいいじゃないかと思いますので、当サイトでは理解が深められるような材料を提供できるようにこの記事を書きました。
いくつかのサイトを参照し、合理的と思われる解釈をピックアップして紹介します。
参照サイト
http://takemehome-countryroad.weebly.com/
https://justrandomthings.com/
https://www.quora.com/
Life is old there, older than the trees
「この部分では、デンバーはこの土地に敬意を示している。年長者は知恵と結びつくものであり、我々はしばしば彼らに安心と助言を求めるからだ。」
In the line “Life is old there, older than the trees,” Denver shows his respect to the land, because seniority is linked to wisdom and often times we look up to our elders for comfort and advice.
http://takemehome-countryroad.weebly.com/
Life is old there と言う部分、カントリーソングの「古きよき」を称える伝統そのものという感じで、僕は大好きです。
Younger than the mountains
「それから彼はだれかについて(彼自身かもしれない)”山よりも若く~” と歌う。デンバーが、彼自身のことと、彼の若さと、偉大な山々によって謙虚な気持ちにさせられることについて歌っているということかもしれない。」
He then mentions someone( maybe himself) being “ Younger than the mountains, Growin’ like a breeze.” Denver might be talking about himself and how he is young and humbled by the mountains he reveres so much.
http://takemehome-countryroad.weebly.com/
この Younger の部分は、接続詞がないのでどうとでも取れてしまう部分ですね。
上記の解釈では「自分のこと」としていますが、「木々よりは古い人の暮らしも、山の偉大さに比べれば若いものだ」というようにも読めます。
ダブルミーニングということでも良いのかもしれません。
Miner’s lady, stranger to blue water
「ウェストヴァージニア州は、ごく初期のころから工業が盛んで、石炭の一大産地だった。このことが作者に、ウェストヴァージニア州を Miner’s lady と呼ばせた。またウェストヴァージニア州は内陸の州であることから、blue water つまり海を知らない(海に知られていない)stranger となる。」
The state has been industry-oriented from the very early days and has been a massive source of coal. This leads the singer to call it ‘Miner’s lady.’ West Virginia has all land borders around it, hence its a stranger to the ‘blue water’-the ocean.
https://justrandomthings.com/
地図で見ると、内陸であることが明らかです。
Dark and Dusty
「”Dark and Dusty” は高山地帯の常緑樹を言っている。山は霧がかっており、またムーンシャイン(密造ウイスキー)の味わいに貢献している。」
Dark and Dusty refers to its dustiness and dark evergreens at higher elevations. Mountains are misty and lend that flavour to the moonshine.
https://www.quora.com/
“Dark and Dusty, painted on the sky” で僕がイメージするのは、こんな具合です。
主語として取れるのは、この verse 内であれば、her つまりウエストバージニア州でしょう。
そして “West Virginia, mountain mama” と歌っていますので、故郷ウエストバージニア州を象徴するのが山であるとして、十分に合理的だと思われます。
moonshine
「ムーンシャインは通常とうもろこしから作られる、熟成されていないウィスキーである。… 通常高いアルコール濃度であるムーンシャインは、家庭で違法に蒸留されるウィスキーである。ムーンシャインの名は、夜の間に月明かりを用いて蒸留されることから来る。」
Normally made from corn, moonshine is a whiskey that is un-aged. … Usually containing very high content of alcohol, moonshine is whisky that is distilled illegally at home. The name moonshine originated from the way it was distilled during the night “Using the moon light”.
https://www.essentialdistilling.com/
熟成前の透明なウイスキー「ニューポット」は、スコットランドや白州蒸留所で飲んだことがありますが、嗜好品とはとても呼べない、ただのアルコールです。
アルコール度数は65%~70%になります。
「”Teardrops” 涙は思い出のことでもあり、強精酒あるいはウィスキーを飲んだ結果でもある。」
Teardrops are powerful memories but also an effect of drinking that strong drink or “Hooch.”
https://www.quora.com/
ひとくち口にしただけで、強烈な揮発感とアルコールの匂いにくらくらして、とても酒として楽しもうと思えるようなものではありません。
製品として出回っているウィスキーは、熟成の上バッティング(幾つかの樽を混ぜて味を調整すること)され、また加水してアルコール度数や味が調えられています。
禁酒法の時代であれば、手に入る酒も無く、仕方無しにそういうものを飲んでいたんでしょう。
“Teardrops” をついつい流してしまう身体の反応も当然ですし、そんなことをしていた昔がまた泣けるほど懐かしく感じられる、ということと思われます。
モデルとなった田舎道
余談ですが、下記によればモデルの Clopper Road は、今は幹線道路になってしまい、歌のイメージは見る影もないようです。
ただ、道の終点辺りは面影を残しているようなことも書いてあるので、機会がある人は訪れてみるのもいいかもしれません。
Clopper Road originates in Gaithersburg, Maryland. It was a single lane road, but is now a busy four-lane road that heads to Germantown, Maryland. No country road anymore… not even close! It is attainable by exiting off of I-270 at Exit 10. … Clopper Road is still there. It is a four lane road from Qince Orchard Boulevard to just past Rt. 118 where it returns to a two lane road. The end of Clopper Road is in a town called Boyds. From Rt. 118 to the end, the road is much like it was in 1969 through the mid-1980s.
https://www.songfacts.com/facts/john-denver/take-me-home-country-roads
文法解説
gather ‘round her
この her は「ウェストバージニア州」です。
「she という代名詞は、人が含まれるもの、国や船、車やその他特定の機械を呼ぶ際に使われる。」
The pronoun “she” is sometimes used to refer to things which can contain people such as countries, ships, or vehicles, or when referring to certain other machines.
https://english.stackexchange.com/
特に船を she と呼ぶのは有名である気がします。
it と呼んでもなんら問題はないわけですが、she の方が情感がこもるんですね。
そして、次の解釈によれば、ここで her が指しているものは、作者が郷愁を感じているウエストヴァージニア州そのものとなります。
「この歌詞は作者がどれだけこの州の呼び声に引き寄せられているかを描いている。毎朝彼はマサチューセッツにいながら、この州が呼ぶ声を聞き、ウエストバージニアラジオを聴く。このことは彼をどうしようもなくウエストヴァージニアに行きたくさせている。」
These lyrics of the song describe how attracted the singer is to this state’s calling. Every morning he hears the state calling her, listening to a West Virginian radio station, while living in Massachusetts. This makes him want to visit the state and possibly settle there.
https://justrandomthings.com/
painted on the sky
on は、「平面の上に」という前置詞です。
painted on the sky で「空を背景に描かれている」といったような意味になります。
抽象的で美しい表現です。
何が描かれているかは、解釈の世界になりますので、お好きなものを思い浮かべてください。
Drivin’ down the road
down は、ここでは「向こうへ、遠くへ」あたりの意味で使われています。
移動、方向に関する前置詞 down は、up と共に多用される表現です。
このような対応関係になっています。
up | down |
北に | 南に |
中心に向かって | 中心から離れて |
自分が立っている方向に向かって | 自分の後ろに向かって |
この歌では田舎に向かっているわけなので、都会(中心)から離れる down が使われています。
I should’ve been home
should は、「~すべき」です。助動詞なので、うしろに動詞の原形をとります。
should be home で「家に(帰って)いなければならない」という現在時制の表現になります。
これを過去時制にするために、be を have been にします。
助動詞の後には原形しかとれないので、現在完了 have been を使って過去を表すルールになっています。
「なんでそうなるの?」と思った人は、「そういうもんなんです」と思ってください。理屈じゃありません、そういうルールです。
これらをあわせると、I should’ve been home yesterday で、「昨日家に帰っているべきだった」となります。
まとめ
色あせない名曲というのはあるもんですね。
ジブリの「耳をすませば」もあって、日本人の郷愁にも訴える歌になりました。
こういう歌をいつでも口ずさめるようになれたら、かっこいいですね。