マルーン5の「Memories」の解説です。
これほど切なく、しかし希望を込めて「喪失」をうたった歌があったでしょうか。
悲しい調子の曲でもなく、むしろレゲエのような、リラックスしたビート。
でも歌の意味を知れば、涙があふれて止まらなくなります。
(友人にレゲエは甘すぎると言われました。正しくはチャーチミュージックというそうです。)
This song is for anyone who has ever experienced loss. In other words, this song is for all of us. https://t.co/kQDn7gX9It pic.twitter.com/vFb3G3ZplY
— Adam Levine (@adamlevine) September 20, 2019
”この歌は、誰かを失ったことのある人のための歌だ。言い換えれば、全ての人のための歌だ。”
Adam Levine
文法や解釈を解説していますので、ぜひこの名曲をよく知って、ついでに英語の勉強もしてみてください。
発音練習「Memories」by Maroon 5
この曲には memories が20回、bring が20回出てきます。
r の発音を集中的に練習してみましょう。
クリックできる目次
文法解説「Memories」by Maroon 5
Here’s to the ones that we got
one で「人」を指す使い方です。
ones we got で、知り合った人、お近づきになった人などという意味になります。
Here’s は、基本的には目の前にいる人に対して、何かを差し出して、「ほら、どうぞ」と渡すときにかける言葉です。
お酒の席になると、Here’s to で、「~を祝して!」のような掛け声として使われます。
”集団にたいしてグラスを掲げ、誰かのための幸運を願ったり成功を願ったりするための一杯を飲むことをお願いする際に使われる”
said when asking a group of people to hold up their glasses and then drink as an expression of good wishes to someone or hope for the success of something:
Cambridge dictionary
One can use the Internet without understanding cookies.
クッキーを理解していない人でも、インターネットは使える。
Here’s to the happy couple!
この幸せなカップルのために!
これらを総合すると、下記のような意味になります。
Here’s to the ones that we got
僕らが出会った人たちに乾杯
memories of everything we‘ve been through
have been は、過去から現在までの時間の間に、何々があった、何々をしたという時間の幅をもつ表現です。
その時間の幅という概念自体に意味を持たせて、「経験したこと」というように使うことができます。
I know how you feel. I’ve been there myself.
君の気持ちわかるよ。僕も経験したから。
なので、everything we have been through で、「僕らが通過してきたこと全て」つまり経験した全てのことという意味になります。
of は memories にかかっているので、全体の意味は下記となります。
memories of everything we’ve been through
僕らが経験したこと全ての思い出
Toast to the ones that we lost on the way
on the way は、「~の道の途中で」です。
on the way home で、「家に帰る途中で」ですね。
この曲の文脈では、way は人生の道になるでしょう。
toast は「乾杯」です。
Toast to the ones that we lost on the way
ぼくらが今まで生きてきた間に失った人々に乾杯
There’s a time that I remember, when I did not know no pain
There was a time 「こういうときがあった」when~「それはこういうときだ」という構成です。
time は、加算名詞であり、不可算名詞でもあります。
1時から5時など、時間として使うときは、不可算なので a はつきません。
「最後にあそこにいったとき」など、「経験」としての time は、可算名詞なので、a time や times となります。
日本語でも、時間のことを言うときは「時」、経験をいうときは「とき」と使い分けますよね。
Do you have time to answer a question?
質問に答える時間はありますか?
I have been there many times.
それは何回も経験したよ。
「時」には a や s はつけない、「とき」にはつけるということです。
no と any の使い分けは、下記のようになります。
No = not a or not any
English Grammar in Use Intermediate
We had to walk home because there was no bus.
(= We had to walk home because there wasn’t a bus.)
Sue will have no trouble finding a job.
(= Sue won’t have any trouble finding a job.)
このルールによれば、下記の文章は did not know any pain となるはずですが、歌詞ですので音の響きを優先したものと思われます。
There’s a time that I remember, when I did not know no pain
むかしを思い出す ぼくが痛みを知らなかったころを
When I believed in forever, and everything would stay the same
believe in は、「~の存在を信じる」です。
I don’t believe in ghosts, do you?
俺は幽霊を信じてないけど、おまえは?
なので、この文章の意味は下記のようになります。
When I believed in forever, and everything would stay the same
永遠の存在を信じ、全てはそのまま同じでありつづけると思っていたとき
I can’t reach out to call you
reach は、「~に届く、到着する」です。
これに out が「外側へ突き出す」という意味で組み合わされ、「~まで手を出す」という意味になります。
電話をかけるために、電話に手を伸ばすということですね。
I can’t reach out to call you
電話をかけるその手が出せないんだ
Everybody hurts sometimes
hurt には、「(誰か/何かを)傷つける」と「(自分が)傷つく」という意味があります。
傷つける対象が書かれていないので、この歌においては主語の everybody が傷ついているということになります。
everybody は単数扱いなので、3人称単数の s がついて、hurtsになります。
Everybody hurts sometimes
誰もがときには傷つく
まとめ
喪失を受け入れて、いつかまた会おう、君のために光を運ぶよと、前を向いて歩いていくことの決意表明のような、そんな明るさを持つ歌でした。
また会うのは、10年先なのか、天国なのか。それとも来世なのか。
それはこの歌を聴くあなたしだいなのでしょう。
泣いちゃってシャドーイングなんかできるか!という人もいるかもしれませんが、そこはひとつ、英語がうまくなるために頑張ってみて下さい。