レディガガ、Bradley Cooperの「Shallow」の解説です。
ガガが主役を演じた映画「アリー スター誕生 (原題 A Star is Born)」のためにガガと共同作者によって書き下ろされた曲です。
この曲は男女の対話になっていて、人生に望むものと、人生において心の底から恐れるもの、そしてガガ演ずるアリーと、ブラッドリー演ずるジャクソンの愛について語られています。
歌詞は短いですが、深い味わいのある曲です。
解説も含めてお楽しみいただければと思います。
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楽曲解釈「Shallow」by Lady Gaga, Bradley Cooper
表現が抽象的なだけに、解釈は人によって分かれますが、より深い理解のために情報を提供します。
ガガのコメント(楽曲解釈)
まずは、ガガ本人の解釈を見てみましょう。
“We are living in a time where there’s so much conversation about women’s voices being heard,” Gaga says. “Men listening to those voices. And also, men not listening to those voices. Women being silenced in very public ways …
variety
To me, that conversation is what makes the song successful and beautiful and why people cry when they hear it. It’s because that man and woman connect, and they are listening to each other.”
「私たちは女性の声がよく聞かれる社会に生きている。男性は女性の声に耳を傾ける。でも同時に、聞いていない。女性は公的に沈黙させられている。」
「 私にとっては、対話というものこそがこの曲を成功させ、美しくし、人を涙させている。男と女を繋げ、お互いに耳を傾けるものだから。」
デュエット形式の歌のなかで、男女が対話をしている。その対話が、愛する男と女をつなぐ。
それが美しく歌い上げられているから、この歌が心に響くんですね。
shallow と deepness の対比(楽曲解釈)
内面の葛藤は、shallow 「浅さ」と deepness 「深さ」の対比により描かれています。
shallow 「浅さ」は、遊んでいて安全なところです。
しかしまた、現代社会 modern world における対話は浅く、無意味で空虚 void なものに終始します。
そして、shallow 「浅さ⇒飛び込むと怪我をするところ」は、彼らを傷つけようとする社会や人生の辛さでもある。
deepness「深さ」は、longing for change 「変化を渇望して」飛び込めば、溺れてしまう危険があるものです。
しかしまた、人生で本当に大事なものは deepness 「心の奥底」にあります。
そして deepness 「深さ⇒飛び込んでも無事でいられるところ」は、人生の苦難から離れて、愛する二人で平穏でいられる場所です。
浅いところにいては、大きなリスクは無いが、本当に価値のあるものは得られず、人生の苦難から逃れることもできない。
深みに踏み出せば、リスクが大きいが、人生の目的を掴むこともでき、愛や成功を見出せば究極の平穏が得られる。
僕には、それを対話によりお互いを理解したうえで、「人生を二人にとって本当に意味のあるものにしていこう」と歌っているように感じられます。
文法解説「Shallow」by Lady Gaga, Bradley Cooper
Is there somethin’ else
something は、単数ですので、三人称単数の is を使います。
その他、下記が常に単数となる代名詞になります。
常に単数として扱う every xxx everybody everyone everything – anybody anyone anything – somebody someome something – nobody no one nothing
elseは、「他に」です。
これを使いこなすことで、「他にやることがあるんだ」「他の誰にもできない」などの表現ができます。
短い単語ですが、ネイティブの会話では使用頻度上位500に入るほどよく使われます。
「他にやることがあるんだ」
I have something else to do.
「自分を尊敬せよ。さもなければ、他のだれもあなたを尊敬しない。」
Respect yourself, or no one else will respect you.
searchin’ for
search for は「~を探す」です。
同じ「探す」に、 look for がありますが、こちらは「あると分かっているものを探す」です。
一方search for は、「あるかないか分からないものを探す」です。
この曲では、人生における何か足りないものを探しているわけなので、look for では置き換えられません。
前置詞 for は、「~の利益のために」が原義です。
to が終着点に焦点を当てているのに対して、for は出発点(探し手)に焦点が当たっています。
She is looking for a permanent place to stay.
彼女はずっと住める場所を探している。
He who would search for pearls must dive below.
真珠を探す者は、より下へともぐらなければならない。
I find myself
myself は、「自分を」です。
これに by をつけて by myself とすると意味が変わって「自分で、一人で」になります。
使い分けに気をつけましょう。
I find myself endlessly repeating the same phrases.
気が付くと同じフレーズを延々と繰り返している。
I can express myself in good English.
私は流暢な英語で自分の考えを表現できる。
I painted the house all by myself.
私は家の塗装をぜんぶ自分一人でやった。
Longin’for change
long は「切望する」です。
「長い」という形容詞と同じ形の単語です。
長いこと憧れたり、情熱を持って追いかけたり、渇望したりという、単なるsearch for よりも強力な言葉です。
long verb
MERRIAM WEBSTER
: to feel a strong desire or craving especially for something not likely to be attained
they long for peace
longing to return home
She was longing for some peace and privacy.
彼女は平穏とプライバシーを切望していた。
His heart burned with longing for revenge.
彼の心は復讐への渇望に燃えた。
tired tryin’ to fill that void?
trying は、動名詞として「空しさを埋めるための試み」という副詞句を作り、tired を修飾しています。
doing と to do は、持っている意味が違います。
doing は、過去に行ったこと。
to do は、これから行うことです。
I’m too tired to walk on.
(これからも)歩き続けるには疲れすぎている。
Don’t you get tired of arguing all the time?
そんなにいつも口げんかしていて疲れないの?
I’m off the deep end
off the deep end は慣用句で、「われを失う、理性をなくす」と言う意味があります。
off the deep end
the free dictionary
slang Crazy or irrational.
A; “Now your father thinks the neighbors are plotting against him.” B: “Wow, he’s really gone off the deep end!“
Whoa, man, stop yelling! I only put a tiny scratch on your car, so there’s no need to go off the deep end.
しかし、後に決意と希望的観測のようなものがあるので、文字通りの意味を考えてみます。
the deep endは、上記の辞書に「プールの深い部分」とあります。
では、offはどんな意味で使われているでしょうか。
辞書によれば「離れて」「手をつけないで」「近くに」「終わって」とあります。
off
cambridge dictionary
away from a place or position, especially the present place, position, or time:
near to:
(of an arranged event) stopped or given up:
in such a way as to be separated:
near to:
「近くに」を採用して、be off the deep end だけを読めば、「深い水に入ってはいないが、きわに立っている」となります。
直後に “watch as I dive in” とありますので、「深みに飛び込む決意をして、今まさにそのきわにいて深みを覗き込んでいるが、怖くてどうしようもない」という解釈になります。
この二人は、お互いを理解して、浅いところでは得られないものを勝ち取るために、深みに飛び込む決意をした。
それはリスクもありとても怖いことだけど、必要なことでもある。
そして、互いに理解してくれ、愛し合っているからこそ、その勇気も出る。
そういう決意や将来への展望が読み取れるパートで、とても好きなところです。
まとめ
この曲は歌詞が抽象的なだけに、いろいろな解釈があると思います。
あなたは自分の人生に照らし合わせて、共感する部分を見つけられたでしょうか。
もし歌が気に入ったら、スピードもゆっくりな曲なので、ぜひシャドーイングに使ってみてください。
あなたの英語力アップを応援しています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。