エド・シーランの「Shape of You」の文法解説です。
2017年の曲ですが、今聞いてもかっこいいですね。
1回目のダンスをしている描写が、そのまま2回目以降はベッドでの情事のメタファーになっていて、セクシーでクールな曲です。
曲を題材に英語を学んで、シャドーイングをして見ましょう。
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文法解説「Shape of You」- Ed Sheeran
the club
club や bar に the がついています。
the は「特定」の冠詞ですが、とくにその後の歌詞でクラブやバーの説明はありません。
このことは、登場人物たちにとって、「クラブと言えばあそこ」「バーと言えばあそこ」と、「わざわざ言わなくてもそこしかない」という共通認識があることを示しています。
僕たちが使う英語としては、トイレや郵便局、駅などに当てはめられます。
「トイレはどこ?」と聞けば、一番近いトイレを聞いているに決まっています。
店内や家に1ヶ所しかトイレがないことも多いでしょう。
郵便局だって、近隣にひとつ。毎回別の郵便局に行く人はいない。
電車に乗るのに、最寄じゃない駅からわざわざ乗る人はいないでしょう。
だからトイレ、郵便局、駅の場所を聞くときはこうなります。
後に出てくる the driver も、タクシーの中で運転手といえば一人ですので the です。
Where is the restroom?
トイレはどこですか?
I am going to the postoffice.
郵便局に行くところだよ。
I took a taxi from the station to the hotel.
駅からホテルまでタクシーを使った。
doing shots
shots はここでは「ショットグラス」です。
蒸留酒を飲むときに使う小さいグラスですね。
ドラマなんかで一気にぐいっと飲み干すシーンをよく見るんではないかと思います。
doing shots なので、直訳すれば「ショットをやる」くらいの意味になり、だいぶ砕けた表現です。
start up
start up は「始める」ですが、start よりも「明確な意図をもって始める」もしくは「手間のかかることを始める」というニュアンスがあります。
Start up has more of an implication that you are “turning something on” or that some effort or process is being taken to start something. Engines typically undergo some effort to start even if all you do is turn a key, so start up is often used. Although you can always use just start and never be incorrect.
https://ell.stackexchange.com/
「エンジンはキーを回すだけだったとしても、始動するまでに労力がかかってるから、エンジンをかけるときは普通は start up って言うよね」と説明されています。
「start だけでも間違いには絶対にならないよ」とも説明してくれています。
The rain started: it was not raining before, but now it is. In this instance, I feel it is more natural to say “It started raining”, however.
(雨が降っていなかった状態から、)雨が降り始めた。
The rain started up: it was raining lightly, but now it’s raining harder.
小雨から激しく降り始めた。
ここでの up は、「上へ」という基本イメージから派生して、「重力に逆らう上への力」というイメージで用いられています。
give it a chance
give it chance は、「試してみる」「相手やものごとを知るために時間をとる」「決断のまえにしっかり考慮する」などの意味があります。
give (someone or something) a chance
To allow or grant someone the opportunity to do something.
If you would just give me a chance, I know I would be a great asset to the company.To take time to try or get to know someone or something before dismissing them or it; to give someone or something a fair and thorough consideration before making a judgment.
the free dictionary
Come on, give Matt a chance—he’s really a nice guy.
曲全体の雰囲気から、主人公はプレイボーイと判断して、「いつもは軽い気持ちで声をかけるし、おまえも俺がちゃらちゃらしてると思ってるかもしれないけど、おまえには本気だよ」と解釈し、「決断のまえにしっかり考慮する」の意味を取って訳しました。
And trust me I’ll give it a chancenow
信じてくれ 今回はマジなんだ
put Van the Man on the jukebox
Van the Man は歌手 Van Morrison のことだそうです。
メロウなバラードを歌う熟年のシンガーですね。
put A on Bで「AをBの上に置く」です。
レコードをジュークボックスに置くことから、音楽をかけるという意味になります。
「踊ろうよ、いや、その前にお気に入りのセクシーな曲をかけてくれ」という文脈です。
Your love was handmade
handmade は「手作り」ですので、大量生産品ではないユニークなものであるということを言っています。
for someone like me 「俺のようなやつのために(手作りされた)」と続きますので、価値があるものだ、とか、俺にぴったりだなどのニュアンスになります。
One week in
one week in は「一週間がたって」です。
通常期間を表すときは、 in one week 「一週間後に」というように in がつかわれますが、ここでは in が後ろに来ています。
この曲を解説する英語サイトでは下記のように解説されていることから、One week in we let the story begin「僕らの物語を始めてから一週間」という意味であることが分かります。
One week into that fortunate meetup at the bar and they are going on their first proper date.
https://justrandomthings.com/
「バーでの幸運な出会いから一週間たって、彼らはきちんとしたデートに向かっている。」
thrifty
thriftyは、「倹約している、お金の使い道にとても気を使っている」という形容詞です。
showing a careful use of money, especially by avoiding waste:
cambridge dictionary
They have plenty of money now, but they still tend to be thrifty.
PVでジャンクフードを食べていることからも分かるとおり、「お金はないけど、楽しく過ごしてるよ」という描写です。
all you can eat
all you can eat は「食べ放題(のレストランなど)」です。
「レストランの定額食べ放題の食事」
「定額での使い放題のサービス、ダウンロードし放題」
used to describe a meal at a restaurant where people can serve themselves as much food as they want:
The bar has an all-you-can-eat buffet lunch for $10.used to describe an arrangement in which a company allows customers to use a service as much as they like or to download as much as they like from the internet for a fixed amount of money:
cambridge dictionary
all-you-can-eat packages of voice, video, and internet services
「お皿にたくさん盛ってくるから、バッグにつめちゃいな」という直後の意味も成り立ちますね、いいことかどうかはともかくとして。
the sweet and the sour
the + 形容詞で、「~というもの」「~な人」という用法です。
sweet と sour で、「人生の酸いも甘いも」という表現になっています。
一般的には、the good and the bad が使われます。
the good を辞書で引くと下記の通りです。
1: the pleasant things that happen to people
You have to take the good with the bad.
2: things that are morally proper or correct
Parents must teach their children the difference between the good and the bad.
3: morally good people
She believes that the good go to heaven when they die and the bad go to hell.
4: the part of someone that is kind, honest, generous, helpful, etc.
They cherished the good in him, overlooking the bad.
1:嬉しいこと
2:道徳上よいこと
3:道徳的にいい人
4:人の善性
とくに「~な人」については、知らないと分からないので、例を出しておきます。
Grammar in Use より。( adjective : 形容詞)
The + adjective
ENGLISH GRAMMAR IN USE INTERMEDIATE
We use the + adjective (without a noun) to talk about groups of people. For example:
the young the rich the sick the injured
the old the poor the disabled the dead
the elderly the homeless the unemployed
順に、若い人、お金持ち、病人、けが人
年寄り、貧乏人、障碍者、死人
年長者、ホームレス、失業者 です。
英語の音節について どうしたら発音できるのか
この曲はだいぶ速く歌われているので、しっかりついて歌うのは簡単ではありません。
ですが逆に、英語の音節の感覚を掴むにはもってこいです。
カタカナで把握していては絶対に超えられない壁であり、自分が喋る英語を理解してもらうのには超えなければいけない壁です。
例えば I’m in love with your body では、メロディ上、音符が7つ。
body に2音、他の単語はぜんぶ1音です。
音符ひとつに、音節ひとつがわりあてられています。
そして音節は、母音(と接近音)で構成されます。
音節にならない音は無声音といって、声帯をつかわず口先だけで出す音です。
こちらにこのあたりのことをまとめていますので、感覚が分からない人はしっかり読んでみましょう。
これを読んで、もう一度この shape of you を聞けば、カタカナとの違いが一目瞭然になります。
あとは、ヘッドホンなどで細かい無声音を聞き取りながら、ひとつひとつしっかりコピーしていけば、英語の発音はあなたのものです。
まとめ
エドさんは芸の幅が広いですね。
結婚式に使えるような正統派バラードも歌えば、こんなラップ調の曲もスマートにこなしてしまう。
この曲は、体だけのお軽い関係に溢れる世の中への批判にもなっているようです。
欧米では、日本のように「付き合ってください」「お願いします」が無いので、余計にそうなりやすいのかもしれません。
理解が深まって楽しめそうなら、何度も繰り返して歌って、さらなる英語力アップのために頑張ってみましょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。